さくっと分かるニュースの見方

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 7月5日投開票の東京都知事選は現職の小池百合子氏の圧勝におわった。さて、問題はこれが国政選挙にどうかかわってくるか、である。

 日経(7月7日付)は、新型コロナウイルス感染拡大という状況の中で「安定を求める声を浮き彫りにした」と指摘。「選挙戦は現職に有利に働く」との受け止めが自民党内に広がっているという。小池氏はコロナ対応を優先し、街頭演説に一度も立たなかった。それでも、366万票という圧勝で他の候補を圧倒した。

 安倍政権の内閣支持率は伸び悩むが、共闘でもたつく野党との比較で、自民党がまだ優位を保てているといえる。そうすると、解散総選挙である。コロナの「第2波」の可能性や経済の悪影響など、政権浮揚を見込める要素は当面少ないことから、自民党内は、野党の選挙準備が整う前に解散に踏み切るべきだとの意見に傾きやすい、と日経はまとめている。

 野党は都知事選で候補者を一本化できず、小池氏の圧勝を許した。これには、野党第一党立憲民主党が独自候補を擁立できずに指導力を示せなかったことが大きい、と指摘するのは、毎日(7月7日)である。支援した宇都宮健児氏は84万票を獲得したものの、4倍以上の大差で敗北。国民民主党内には、立憲主導の共闘に懐疑的な意見も出始めているという。

 朝日(7月7日)は、「風吹かぬ山本氏 浸透力不発」として、れいわ新選組山本太郎代表に注目している。昨夏の参院選でれいわに2議席をもたらしたものの、今回は立憲民主などと対立する構図となり、65万票で3番手どまり。街頭で徹底して対話を重ねて有権者の共感を誘う得意の手法ができなったという。この山本氏の失速が、野党再編にどう影響するかに注目だ。朝日記事では、山本氏の発言力は低下する、とも、いまこそ連携を呼びかけるべきだ、ともいう立憲関係者の声を取り上げている。山本氏が共闘条件に掲げるのは「消費税5パーセント」。ここを立憲あたりがどう受け止めるのだろうか。

 何度も見てきた「ばらばらで立ち向かう野党と、なんとなく勝利する安倍与党」の構図が、今回も繰り返されるのだろうか。秋まで時間はない。