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新常態への対応

 日経11月19日朝刊によると、日本企業の4月~9月期決算は、「新常態」への適応力によって明暗が分かれたという。

 例えば、味の素は、巣ごもりで家庭での調理機会が増え、和風だしの素「ほんだし」やコンソメなどの調味料は事業利益が2割増。冷凍食品も伸びた。即席麺大手の日清食品ホールディングスなどはカップ麺のほか袋麺が好調だ。小売業では食品スーパーや郊外型の家電量販店の業績が上向いた。バローやノジマといったあたり。意外なところでは「三国志」のゲームで有名なコーエーテクモ

 しかし、航空や旅行、化粧品や百官店などの大手は大変厳しい状況にある。ビール最大手のアサヒビールも同様だ。

 日経11月17日の中村直文編集委員のコラムをみよう。ずばりその理由は最強のビール「スーパードライ」を持つが故の第ブランド病だという。ビール市場は縮小しているのに、「見たい現実」だけを見てきた。一本足打法ゆえに、他のブランドやカテゴリーの育成を妨げる見えない壁があった可能性がある。

 そもそも日本企業は継続性を重視する。成功すればするほど戦略の修正が難しくなる。とあるグローバルアパレルメーカーのトップは「成功は失敗のもと」と言ったが、正しい。どんな斬新なビジネスモデルも陳腐化し、トップの油断が大きなリスクになって戻ってくる。成功体験に甘んじてはいけない。

 しかし・・・。分かっていても、船は沈む。これこそが、アメリカに敗れた日本という国のかたちなのだ。