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税金がいつのまにか消えていく?

 新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまな業種が苦境に立たされているが、そんな中で、ろくに苦労せずにがっぽり血税をかすめとる連中がいるらしい。

 話題になっている持続化給付金の「民間委託」である。日経が6月6日付で問題点を整理している。まず第1は、プロセス。なぜ政府は、この「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」なる団体に769億円で委託したのか。入札にはもう一社が応じているうよだが、「総合評価」で決まったとして詳細は明らかになっていない。これでは発注先が適正かを検証できないし、電通に仕事を回すための「トンネル団体」との批判が出てくるのも当然だ。

 第2は、委託コストの膨張だ。この協議会が電通に委託し、電通がさらに子会社に委託するというのが今回の構図。このような「中抜き」がいくつも発生すれば、無駄なコストがかさむわけだ。電通は100億円を受け取るそうだが「詳細な積算根拠は示していない」という。第3は、透明性だ。この協議会は決算公告を出していない団体で、ようは実態もよくわからない。こうして、国民の税金がいつのまにか、よくわからない輩にかすめとられていく。たしか、東日本大震災の復興費もそうだった記憶がある。

 朝日新聞6月6日付によれば、同じような構図はキャッシュレス決済のポイント還元事業でもあるという。「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」が、業務を電通など再委託していた、と。ここでも電通か!なんとも恐ろしい会社ではないか。こうしてかすめとられたカネは、一体どこへ消えていくのか?何に使われるのか?官僚か、与党へ還流するのか?ここらへんの報道を、ジャーナリズムに期待したいところだ。いずれにせよ、この民間委託問題は、日本社会のダークサイドが、少しだけ明るみになった事案といえよう。